2022年10月12日 理事会修正確定版
2023年4月8日 利益相反事項追記
一般社団法人人文地理学会の刊行する『人文地理』は,1948 年の創刊以来,日本の地理学界を代表する学術雑誌としての責務を果たすべく,刊行を通じて地理学界の発展に努め,社会的要請に応えてきた。こうした活動を続けていくためにも,論文等の著者,掲載の可否を審査する査読者ならびに編集委員会は,日本学術会議が制定する「声明「科学者の行動規範 (改訂版)」(平成25 年1 月25 日)」に則りつつ,『人文地理』の内容が社会に対して責任を有し,第三者に対して影響力があることを十分に理解し,適切な倫理観に基づいて行動することが求められる。
[目的]
1. 本規程は,一般社団法人人文地理学会の刊行する『人文地理』に掲載されるすべての記事が,倫理上の普遍的基準を満たすことを目的として制定される。本規程に定めるものの他は本学会倫理綱領に従う。
[著者の倫理]
2. 『人文地理』に論文等を投稿する著者は,次の点を遵守しなければならない。
(1) 著者には,原稿の内容に関わる研究の諸過程に重要な貢献をした個人のうち,原稿の出版に最終的に同意する者全員が含まれ、これ以外の個人を著者に含んではならない。
(2) 著者は,原稿のすべての内容への説明責任を負い,原稿の内容に関する疑義が生じた場合,適切かつ真摯に対応しなければならない。
(3) 著者は,他の刊行物に公表した内容と同一もしくはきわめて類似した原稿を,『人文地理』の論説・展望・研究ノート・フォーカス・書評等の原稿として投稿してはならない。また,『人文地理』に投稿し,査読を受けている原稿を,同時期に他の学術雑誌等に投稿してはならない。
(4) 著者は,第三者が原稿の内容を検証できるよう,原稿の作成に必要な情報やデータ等を適切に示さなければならない。
(5) 著者は,ねつ造あるいは改ざんされた情報やデータを利用して原稿を作成してはならない。
(6) 著者は,他者の研究結果,未発表データ等を盗用して原稿を作成してはならない。他者が既に発表した内容を参照・引用する場合は,適切な方法・手続きに基づいて参照元・引用元を示さなければならない。
(7) 著者は,他者の学説を尊重し,批判するに際しては学術的根拠に基づいた科学的な内容でなければならない。
(8) 著者は,原稿で扱う調査データや実験データの取得に際して関わる協力者や被験者等には,その趣旨を十分に説明して了解を得なければならない。また,協力者や被験者等の人格,人権を尊重し,プライバシー,肖像権,知的財産権といった諸権利を侵害してはならない。
(9) 著者は,投稿論文に関わる研究の遂行に際して,研究費助成等の供与を受けた場合,その出所をすべて記載しなければならない。また,投稿論文の内容に関連する企業や団体等から報酬を得ている等の利益相反がある場合,その旨をすべて記載しなければならない。その他、研究の結果や解釈に影響する可能性のある実質的な利益相反についても記載する必要がある。
(10) 著者は,査読結果に示される内容について,誠実に応えなければならない。
[査読者の倫理]
3. 『人文地理』に投稿された原稿の査読者は,次の点を遵守しなければならない。
(1) 査読者とは,『人文地理』の編集委員長ないし編集副委員長による任命を受諾した者である。
(2) 査読者は,著者あるいは原稿の内容に関して利益相反の関係にある場合,直ちに査読を辞退しなければならない。
(3) 査読者は,査読期限を遵守し,著者との立場や考え方の違いによらず科学的客観性を保って公正かつ公平な査読を行わなければならない。
(4) 査読者は,論理的な査読結果の記述に努め,説明責任を果たさなければならない。また,著者の人格や知的立場に十分な敬意を払い,著者の尊厳を損なう記述をしてはならない。
(5) 査読者は,査読中の原稿に二重投稿,ねつ造,改ざん,盗用等の倫理違反の可能性が認められた場合,直ちに編集委員会に報告しなければならない。
(6) 査読者は,査読の任に当たっている事実や査読の結果及び原稿の内容について,編集委員会(及び連絡業務を行う一般社団法人人文地理学会の事務局職員)以外に漏らしてはならない。
(7) 査読者は,査読中の原稿について,その内容を利用してはならない。また,査読終了後も,当該原稿が公表されるまで,その内容を利用してはならない。
[編集委員会の倫理]
4. 『人文地理』の編集委員会は,次の点を遵守しなければならない。
(1) 編集委員会は,公正かつ公平な委員会運営と編集業務を行わなければならない。
(2) 編集委員長と編集副委員長は,原稿が投稿された場合,原稿の種別や内容等に照らしてふさわしい査読者を2名以上選定しなければならない。
(3) 投稿された原稿の著者や原稿の内容が,特定の編集委員やその研究内容と利益相反の関係にある場合,当該編集委員は当該原稿に関する審査に加わってはならない。
(4) 編集委員会は,編集委員会で議論された査読に関する事項や投稿原稿の内容に関する事項について,関係する査読者以外の第三者に漏らしてはならない。ただし,理事会が報告を必要すると判断した場合,編集委員長は必要事項を理事会に報告しなければならない。
(5) 編集委員会は,査読者から二重投稿,ねつ造,改ざん,盗用等の倫理違反の可能性が報告された場合,速やかに適切な措置をとらなければならない。
(6) 編集委員会は,編集委員会で議論し,編集委員長のもとで取りまとめた査読結果を,編集委員会名で著者に通知しなければならない。ただし,編集委員長が当該論文の投稿者や内容と利益相反の関係にある場合は,査読結果を編集副委員長のもとで取りまとめるものとする。
(7) 編集委員会は,査読結果について投稿原稿の著者本人から照会があった場合,真摯に対応し,協議結果を編集委員会名で著者本人に通知しなければならない。
(8) 編集委員会は,既刊行の『人文地理』公表論文に対して,二重投稿,ねつ造,改ざん,盗用等の倫理違反が認められた場合,論文掲載取消等の適切な措置を速やかにとらなければならない。
(9) 一般社団法人人文地理学会の事務局職員は,連絡業務等で知りえた編集にかかる内容について,編集委員会と同様の倫理的義務を負う。
[改正の手続き]
5. この規程の改正は理事会の承認を経るものとする。