倫理綱領

一般社団法人人文地理学会倫理綱領

2014年10月1日制定

前 文

一般社団法人人文地理学会は,人文地理学の調査・研究,教育および学会の運営にあたって依拠すべき倫理上の基本原則を定め,ここに「一般社団法人人文地理学会倫理綱領」を制定する。一般社団法人人文地理学会の会員は,人文地理学研究の発展と社会への貢献のために,本綱領を十分に理解して,これを遵守しなければならない。

人文地理学の調査・研究は,地表上のあらゆる地域と人々を対象とする。会員は,その研究が社会の信頼と負託の上に成り立つものであることを認識し,調査・研究の対象となる地域と人々に対して,常に公正を重んじ,真摯に判断し行動しなければならない。また,人文地理学の教育,指導,その他さまざまな実践に携わるときも,学問の公共性と社会的責任を十分に自覚し,学習者や知識,技能の受け手に対して,本綱領の趣旨を正しく伝えなければならない。

[人権その他の諸権利の尊重]

第1 条 いかなる場所と機会においても人権を尊重し,プライバシー,肖像権,知的財産権などの諸権利を侵害することがないよう努めなければならない。

[差別の排除]

第2 条 居住地,性別,年齢,出自,民族的背景,宗教,思想,信条,性的指向,身体的特性,障がいの有無,国籍などに関して,差別的な扱いをしてはならない。

[ハラスメントの排除]

第3 条 ハラスメントに当たるいかなる行為もしてはならない。

[説明責任]

第4 条 調査・研究の対象となる人々に対して,調査・研究の目的,方法およびその成果の公表に関する説明責任を負わなければならない。

[被害の防止]

第5 条 調査・研究の対象となった地域,団体,個人の生存,財産,安全などを脅かしてはならない。調査で得られたデータは厳重に管理し,みだりに情報を開示してはならない。

[成果の公表]

第6 条 調査・研究の成果の公表とその社会的還元に努めなければならない。

[著作権侵害の排除と不正の防止]

第7 条 著作権を侵害してはならない。他人の調査・研究の成果を盗用,剽窃したり,調査・研究のデータを捏造したりしてはならない。

[相互の批判・検証機会の確保]

第8 条 調査・研究の成果を適切に評価し,相互に批判・検証できる機会の確保に努めなければならない。

[研究資金の適正使用と法令の遵守]

第9 条 研究資金を適正に取り扱わなければならない。研究資金の使用等に当たり法令や関係法規を遵守しなければならない。

[利益相反]

第10 条 利益相反に留意し,公共性に配慮して行動しなければならない。

[付則]

「一般社団法人人文地理学会倫理綱領」に違反するとの訴えがあった場合,原則として理事会が対応にあたる。処理の手順については,理事会の議決を経て別に定められた細則の規定に従う。細則に定められていない事柄については,常任理事会の適正な判断にゆだねるものとする。

一般社団法人人文地理学会倫理綱領付則に関する細則

2014年10月1日制定
2020年7月11日改正

1. 会員の行為が倫理綱領に違反するとの訴えがあったとき,常任理事会は訴えの内容を検討し,問題解決に努める.訴えは原則として書面により,顕名で行うものとし,具体的な内容を明示しなければならない。違反の有無を決定するために,詳細な事実調査を行う必要があると認めた場合は,事実調査のための委員会を設置する.また常任理事会は調査委員会を設置したことについて理事会に報告しなければならない.

2. 事実調査委員会の委員は3名程度とし,会員もしくは必要に応じて非会員から常任理事会が選任する.調査委員は,訴えた者,訴えられた会員の双方と利害関係がないと思われる者から選任されなければならない.

3. 事実調査委員会は委員の互選により委員長を選び,事実関係を調査の上,倫理綱領違反の有無と行為の重大さに応じた処遇の原案を作成し,常任理事会に報告する.

4. 常任理事会は事実調査委員会からの報告に基づき,処遇の原案を決定し,理事会の審議にゆだねる.

5. 理事会の議決により処遇案が決定されたとき,会長は訴えた者と訴えられた会員の双方に対して,倫理綱領違反の判断とその理由及び処遇案を文書で通知する.

6. 訴えられた会員は処遇の内容について,会長に対し文書により異議申し立てを行うことができる.

7. 前条に基づく異議申し立てがあった場合,常任理事会は,調査委員会と合同で申し立てについて再度審議し,最終的な処遇の原案を理事会に報告し,審議の結果,最終案を決定する.

8. 訴えた者および訴えられた会員の氏名,訴えの内容,決定された処遇の内容および理由等の公表の可否は,行為の内容,事情の重大さを考慮して,常任理事会が決定する.

9. 会則10条第2項により除籍となった者の氏名は,学会誌の彙報欄に掲載することにより公表される.

10. 調査委員会委員を含む学会役員,事務員は,公表された情報以外の情報を他に漏らしてはならない.

[付則] 本細則の改正は理事会の承認を経るものとする.

このページの先頭へ