第137回歴史地理研究部会(開催日:2014年11月9日 大会部会アワー)

日時:2014年11月9日(日)15時45分~17時15分

会場:広島大学東広島キャンパス(教室:未定)

研究発表:「近世における島嶼農耕空間と農法の含意―瀬戸内海の島嶼を中心に―」

発表者:野間晴雄(関西大学)

趣旨
日本の近世は新田開発に象徴される大規模な農地開発の時代である。しかし島嶼という閉じた空間では,開発に人口/土地比がきわめてクリティカルに反映する。隠岐や対馬のような周縁の過小人口島嶼では焼畑や牧畑のような林野を包摂した農法が行われた。その一方で,内海の流通の大動脈であった瀬戸内海に点在する島嶼は,さまざまな経済的インセンティブの機会を有していた。それゆえ過剰人口の処理と島嶼開発の関係もじつに多岐にわたり,結果として多様な個性の島嶼空間が形成されるとともに,島嶼内部の集落ごとの性格の差違も大きくなった。風待ち・潮待ち港に起源をもつ商業集落,傾斜地農業に特化した島,塩田や狭小な入江の海面干拓,特異な漁業技術に特化した漁村,採石の島,造船・船大工に特化する集落などがごく狭い範囲の島嶼群に混在する様相がみられる。本報告では芸予諸島の農業を中心とする島・集落を主としてとりあげ,その地域的性格を,耕地形態,農法,集落景観,人口,植生・土地利用変化,社会組織の関係を把握しながら,近世から近代への農業・農法の変化の意味を考えてみたい。

連絡先:小野田一幸(神戸市立博物館)kazuyuki_onoda[at]office.city.kobe.lg.jp

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